名誉理事長からのことば
(翻訳家、児童文学作家。1974〜2015年 当館理事長。)
東京子ども図書館は、本がすき、子どもがすきな人たちの集団です。自分たちが、長年にわたって、本から得たたのしみ、喜び、慰め、励ましを、これから育つ子どもたちにも、同じように味わってほしい、と願って、図書館を開きました。最初は、ごくふつうの家庭の一室に、数百冊の本を並べて、近所の子どもたちを招くことからはじめました。それが、今では地下1階、地上2階のレンガ造りの建物をもち、年間1万人を超す人たちが出入りする図書館に成長しました。でも、はじめの願いは変わりません。ひとりでも多くの子どもたちが、本の中で、おもしろいこと、ふしぎなことを体験し、よい人間に出会い、深い考えにふれて、子ども時代に幸せを蓄えつつ育つように。そのお手伝いをするのが、わたしたちの仕事です。
理事長のことば
(東京都日野市立図書館を経て、1993年より当館職員。2015年〜 理事長。訳書に『図書館に児童室ができた日』等)
設立より40年あまり、東京子ども図書館で働く者たちや足を運んでくださる方々の中心は若い世代へと移りつつあります。生活環境も大きく変わり、子どもたちは視聴覚を刺激するさまざまなメディアに包囲されながら、忙しい日々を送っています。それでも、なまの声で語られるお話は、昔と変わらず子どもの心をとらえ、本のページをめくるときの表情は期待に満ちています。子どもたちが幼いうちから楽しく本と出会い、想像の翼を広げて、幸せな読書体験を重ねてほしいという創設時の願いをかなえるには、まだまだできることがあるはずです。クマのプーさんのことばを借りれば、「ひどい窮地に押しこまれた」ときに「助けとなり、なぐさめになるような」本の力を信じて、これからも、同じ願いを共有し、いつも支えてくださる全国のみなさまと、心を合わせて歩みつづけてまいりたいと思います。